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「通行承諾書」が必要になるケースとその意味とは?
こんにちは、広島市南区で不動産業を営む株式会社イシダです。
今回は不動産売買や住宅ローンを検討されている方が意外と知らない、「私道と通行承諾書の問題」についてお話します。
「道路があるから大丈夫」と思っていたら、実はその道路は私人(個人)が所有する私道で、しかも「自分は一切持ち分を持っていなかった」というケース、実はよくあります。
この記事では、
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なぜ通行承諾書が必要なのか?
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どんな影響があるのか?
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どんな内容なのか?
を、丁寧に解説していきます。
■ そもそも「位置指定道路」ってなに?
不動産広告や建築確認の際に出てくる「42条1項5号」という言葉。
これは、いわゆる「位置指定道路」を意味します。
建築基準法では、建物を建てるためには原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していることが必要です。
しかし私道(個人所有の道路)でも、行政が「この道は道路として機能している」と指定すれば、建築許可が下りるようになります。
これが「位置指定道路」です。
つまり、「位置指定道路=建築は可能」というのが法律上の扱いです。

■ でもそれだけじゃダメ? 重要なのは“所有権”と“通行の権利”
法律的には建築可能でも、住宅ローンが下りるかどうかはまた別の話です。
実務上、金融機関がチェックするのは以下のポイントです。
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 道路の種類 | 位置指定道路か?公道か? |
| 道路の所有者 | 市や県などの公的機関?それとも個人(私人)? |
| 対象者の持ち分 | 道路に対して共有名義の持ち分があるか? |
| 通行・掘削の権利 | 法的に保証されているか? |
たとえば、前面道路が位置指定道路であっても、
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道路の所有者が「完全に他人」
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しかも「自分は持ち分ゼロ」
となると、金融機関はこう考えます。
「この人は将来、自由に通れなくなるリスクがあるかもしれない」
「道路工事(上下水道やガス管)をしたくても拒否されるかもしれない」
■ 実際に起きうるトラブル例
✅ 将来の建て替え時に「通行ダメ」と言われる
✅ 水道工事で道路を掘りたいのに「ダメ」と断られる
✅ 相続で道路所有者が変わって、通行料を請求される
こうしたリスクがあると、金融機関は融資を見送ったり、
買主が購入をためらったりします。
■ そんな時に必要なのが「通行承諾書」
そこで必要になるのが、通行・掘削承諾書(つうこうしょうだくしょ)です。
これは、
「私道を通ってもOKですよ」
「工事のために掘っても大丈夫ですよ」
といった内容を私道の所有者に明文化してもらう書類です。
通行承諾書のポイント
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無償での通行と掘削を承諾していること
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第三者(将来の買主や工事業者)にも有効であること
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永続的に(少なくとも建物がある間は)有効であること
この書類があることで、金融機関も
「最低限の通行・工事の権利が確保されている」と判断し、住宅ローンの審査が通りやすくなります。
■ 株式会社イシダで使用している「通行承諾書フォーマット」
当社では、不動産売買時に必要となるケースに備え、
以下のようなシンプルで明確な通行承諾書を使っています。
✅ 私道の所有者と対象地の住所・地番を記載
✅ 通行と掘削の内容を明文化
✅ 永続性と無償性を明記
✅ 認印または実印で署名捺印
必要に応じて、位置図や公図、道路位置指定通知書なども添付し、
買主・金融機関・司法書士いずれにも通用する形で対応しています。
■ 解決方法は3つ
| 解決策 | 内容 | 対応難易度 |
|---|---|---|
| ① 持ち分を取得する | 私道の一部を売ってもらい、自分の名義にする | ★★★(売主の協力必要) |
| ② 通行承諾書をもらう | 所有者に無償で書類作成を依頼 | ★★(協力が得られれば) |
| ③ 代替接道を探す | 他に接している公道がないか確認する | ★(ケースによる) |
■ イシダからのアドバイス
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「前面道路がある」だけでは安心できません
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「私道に持ち分がない」場合は、事前確認が必要です
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売主・買主ともに、事前に専門家のチェックを受けるべきです
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トラブルになる前に、通行承諾書を取得するか、持ち分を取得しておくことをおすすめします
■ まとめ
| チェック項目 | 解説 |
|---|---|
| 道路の種別 | 位置指定道路でも、私道なら注意 |
| 所有権 | 道路に自分の持ち分があるか? |
| リスク回避方法 | 通行承諾書 or 持ち分取得 |
| 金融機関の対応 | 書類次第で融資可能になることも |
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株式会社イシダでは、
位置指定道路・私道問題・通行承諾などの権利関係の調整を含めた不動産売買サポートを行っています。
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豊富な実務経験をもとに、現地調査から書類作成、権利関係の調整までお手伝いします。
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※この記事は広島市南区を中心とした不動産実務に基づき執筆しています。地域や金融機関によって対応が異なる場合がございますので、詳細は専門家にご相談ください。










