
「兄妹で不動産を相続したけれど、特に問題もないし、当面はこのままで大丈夫だろう」
そんなお気持ちの方は多いと思います。
ですが、不動産というのは“動かない資産”でありながら、相続・名義・権利といった「人の事情」に大きく左右される、非常に繊細な資産でもあります。
今回は、実際に寄せられたご相談をもとに、「共有名義の不動産をどう扱うべきか?」というテーマについて、私たち不動産実務家の視点からお伝えします。
目次
ある相談:兄妹での1/2共有、テナント入居中
今回ご紹介するのは、現在テナントが入居している建物に関するご相談です。
その物件は、兄妹のお二人が半分ずつ持ち分を保有されている共有名義の不動産です。
このようなケースでは、「今すぐ売る必要もない」「毎月の賃料が入っているから安心」と思われることも多いのですが、私たちはむしろ“将来リスクが潜んでいる状態”として捉えています。
共有名義の3つの課題
① 売却の自由が制限される
共有名義の不動産は、全員の合意がなければ売却できません。
たとえ1人が「売りたい」と考えても、もう1人が反対すれば前に進めません。
② 相続時にトラブルが生じやすい
共有者が亡くなると、相続人がさらに分散し、話し合いが複雑化します。
意思決定が遅れたり、関係がこじれたりすることで、不動産の価値が損なわれることもあります。
③ 持ち分だけでは売れない
共有持ち分だけを第三者に売ることはできますが、需要が非常に限られており、価格は大きく下がります。
結果的に「売れない資産」となってしまうケースがほとんどです。
「今すぐ売らない」でも、「今、準備をしておく」ことが重要
私たちがご提案しているのは、「売るべき」という話ではありません。
大切なのは、いざというときにどうするかを事前に整理しておくことです。
例えば──
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現在の不動産価値を知っておく
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税金や相続を想定したシミュレーション
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将来売却をする場合の流れを確認しておく
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共有者同士での意思のすり合わせ
こうした“準備”をしておくだけで、実際に売却や相続が発生した際の負担が大きく軽減されます。
売却=“損”ではない
不動産を売るというと、「もったいない」と言われることもあります。
ですが、私たちはこう考えます。
売却は、“資産を現金化することで選択肢を増やす”合理的な行為です。
今は不動産が毎月家賃を生んでくれていても、
それを現金化すれば、その資金を別の投資や相続対策、将来のライフプランに活かすことができます。
不動産は「固定資産」です。
それを「流動資産」に変えることによって、資産の自由度と機動性が大きく上がります。
まとめ:共有名義のまま“放置”するのは、リスク管理上おすすめできません
「兄妹だから仲は良い」
「テナントが入っているから放っておいても大丈夫」
そう思っていた物件が、将来“動かせない資産”になってしまう。
そうしたご相談を私たちはこれまで数多く受けてきました。
だからこそ、共有名義の不動産は、今のうちに
「売るか・売らないか」ではなく
「いつ・どうするか」を話し合っておくことが、家族の未来を守る行動になります。
相談することで、見えてくる選択肢があります
私たちは、広島市で不動産と建築を基盤に資産形成のお手伝いをしている事業者です。
大手とは異なり、ご相談件数は決して多くはありませんが、そのぶん一つひとつの案件に真剣に向き合っています。
「まだ売るつもりはないけど、話だけでも聞いてみたい」
「兄妹で共有している物件があるが、将来が少し不安」
そんなお気持ちが少しでもあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
お話を聞いた上で、「売らない方がいい」とお伝えすることもあります。
大切なのは、“今”を見て、“未来”の準備をすることだと私たちは考えています。
お問い合わせ先
株式会社イシダ
広島市南区段原日出1丁目7-12
090-8157-3165(売却専用)
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